全てのワインは美味しく熟成できるのか

全てのワインは美味しく熟成できるのか

その答えは"NO"です。全てワインが熟成に適しているわけではなく、どのワインが時間の経過とともに美しく変化していくのかを判断することが必要です。 そのためには、熟成のプロセスを可能にするワインの特性を理解し、熟成期間中にワインがどう変化していくのか理解しておくことが不可欠です。

ワインの熟成能力に影響を与える要因はいくつかありますが、最も重要な要因は2つに絞れます。

  • 高い酸度
  • タンニン構造

酸度

酸はワインの構成を保持し、早期酸化を防ぐのに重要な役割を果たします。ワインが熟成すると、酸がフレッシュさと全体のバランスを維持するのに役立ちます。複雑な風味と香りの構成にも影響を与えます。

一方、酸度が低い状態のワインは、長期保管した場合、品質が保障される可能性は低くなります。 酸度が低いとワインの構成が欠けてしまい、ワインの鮮度や特徴を長期にわたって維持する能力が失われる場合が多く、また、ワインは平坦な味わいとなり全体のバランスが崩れ、酸化や劣化が起こりやすくなります。

タンニン

タンニンはワインの構成に極めて重要な役割を果たしており、タンニン濃度の高い赤ワインは、タンニン含有量の低い赤ワインに比べて優れた熟成能力があることを示します。 これらのタンニンは、ワイン製造過程におけるブドウの種子や皮との接触や、オーク材の熟成に由来します。

「ブドウのタンニン」と「木のタンニン」がバランスよく溶け込んだワインは、徐々にまろやかになっていきます。

タンニンはワインをよく熟成させる働きがありますが、タンニンの欠落などワインの初期バランスが欠けていると、ワインの熟成が進んでも美しく進化するどころか退化する場合があることに留意することが重要です。

ワインが熟成すると、タンニンが複雑化して、ボトル内に沈殿します。 したがって、ボトル内に沈殿物が見られる場合、ワインが熟成していることを示しています。

熟成の結果として、ワインはタンニンと色素の一部を失い、色が薄くなります。赤ワインが熟成すると、酸化によって色が紫色から黄褐色や褐色がかった色に変わることがよくあります。

では、なぜワインを熟成させるのでしょうか

それは、熟成ワインにしか出せない味わいがあるからです。熟成による変化は色だけではありません。ワインの香りと色はより複雑になり、口当たりは柔らかく、渋みは穏やかになります。

熟成の過程では、いくつかの化学的プロセスが発生します。その1つは、フレーバーの元となる成分の加水分解で、特定の成分がグルコース分子から分離し、熟成したワインに新しい風味を加えます。さらに、特定のフェノール類が相互作用して、ブドウや発酵プロセスに由来する一次アロマとは異なるさらなるアロマを作り出します。これらの独特の化学反応により、熟成したワインはより複雑で風味豊かになるのです。

 

ワインが熟成すると、数値的な酸度は時間の経過とともに比較的安定しているにもかかわらず、酸の味わいが変化するように感じる場合があります。 この変化は、酸がアルコールと反応してエステルを形成するときに起こり、さまざまな新しい香りが生じることに起因します。 その結果、ワインは熟成するにつれて酸味が弱まり、さまざまな香りや風味が楽しめるようになります。

若いワインとは一味も二味も違った表情を見せてくれるのが熟成ワイン。みなさんも是非味わい、若いワインと比較をしてみてはいかがでしょうか。きっと、ワインの楽しみの幅が広がることでしょう。

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