今回紹介する生産者はアルヴェス・デ・ソウザ。

今回紹介する生産者はアルヴェス・デ・ソウザ。

ドウロ渓谷は、おそらくポルトガルで最もよく知られた自然の景観であり、ドウロ川を伴うその特徴的な段丘は、誰でも目を奪われる絶景であることは間違いありません。しかし、ドウロの魅力は豊かな自然だけではありません。その段々畑で造られるエレガントで洗練されたワインの数々は、フランスで造られる最高級のワインに匹敵すると言っても過言ではありません。洗練された特別なワインを生産するのに適した条件がドウロには備わっているのです。

今回、私たちはドウロにある1つの生産者を深く掘り下げ、名高いフランスのシャトー・マルゴーと比較しながら、ポルトガルにも、素晴らしいワイン存在することを皆様と共有できればと思います。

今回紹介する生産者はアルヴェス・デ・ソウザ。

アルヴェス・デ・ソウザ家は家族経営のブティックワイナリーで、ドウロで5世代にわたってワインを生産しており、ポルトガルのドウロワイン(ポートワイン以外の一般的なワイン)が世界的に知られるようになったパイオニア的存在なのです。

このワインの品質と独自性は、国内外で最も高く評価され、各メディアからも広く認知されています。その中でも最も注目すべき言及の1つは、Olivier Poussier(オリビエ・プシエ)が「Revue de Vin de France」で行われた外国ワインの試飲会で、2つのトップ評価のうち1つを「キンタ ダ ガイヴォーザ(赤)」に与え、「キンタ ダ ガイヴォーザはドウロ地方における「シュヴァル・ブラン」(ボルドーと世界で最も高級で高く評価されているワインの1つ)である」と書いたことです。

ワイン界で最も著名な人物の1人が述べたこの声明は、この生産者を最もよく定義する創造性と厳格さを言い表しているといえるでしょう。伝統を尊重しながら革新的なアイデアを追求することで、アルヴェス・デ・ソウザはポルトガルで最も特別な生産者の1人となっています。

しかしながら、フランスワインが受けるメディアの注目と認知度が高いことにより、この生産者の影が薄くなっていることは確かです。ワイン愛好家が、1級畑を意味する「プルミエ・クリュ」やボルドーの格付けをより重視するのも無理はありません。

19世紀にナポレオン3世が万国博覧会でワイン産地を分類するよう要請したことにより、フランスのワインは広く普及し、その後のプロモーションによって確固たる地位を築き上げてきました。このような背景から、フランスのワインは真に疑う余地のないものとなっています。

この取り組みの進展により、ボルドー地方は国際的に重要な地位を占めるようになり、ワインの価格にもそれらが反映されることになります。最も高価なワインとして、最近までシャトー・ラフィット・ロートシルトが君臨していましたが、現時点では1945年ロマネ・コンティが最高額として扱われています。

そのような一般的評価はさておき、品質のみに焦点を当ててみると、アルヴェス・デ・ソウザ家が生産するワインが、他の名高いワインにも負けずとも劣らない良質なワインであることを私達が強調する点です。そこで、アルヴェス・デ・ソウザのアバンドナドを用いて、有名なシャトー・マルゴー(プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ)と比較してみようと思います。

現在、アルヴェス・デ・ソウザと同様に、シャトー・マルゴーも家族所有であり、メンツェロプーロス家が所有しています。この名高い醸造所に関連する歴史は、12世紀にまでさかのぼり、シャトー・マルゴーの礎を築いてきました。一方、アバンドナドは約80年前に良質のワインを作ろうと一念発起したアルヴェス・デ・ソウザのドミンゴ氏により育てられたブドウ畑から生まれたもので、シャトー・マルゴーと比較すると歴史は浅いといっていいでしょう。

シャトー・マルゴーは、カベルネ・ソーヴィニヨン89%、メルロー8%、カベルネ・フラン2%、プティ・ヴェルド1%のブレンドで、アバンドナドはティンタ・アマレラ、トウリガ・フランカ、トウリガ・ナショナル、ソウザォなど20種類以上の在来種を使用したブドウ種の組み合わせです。どちらも深いルビー色をしています。シャトー・マルゴーは、黒カシスやラズベリーの香りがあり、甘草やコーヒーのニュアンスが感じられます。アバンドナドの香りにも、甘草や黒い果実などの類似点があり、この地域のブドウ畑の特徴である複雑さと芳醇さが調和し、香り高いところがエレガントで魅惑的なシャトー・マルゴーの優雅さに通じるところがあるでしょう。

テイスティングの結果、それぞれ独自の表現力があることに気づきました。シャトー・マルゴーのミディアムボディと繊細な味わいには、ただただ魅了されます。黒い果実の力強さがあり、フローラルなニュアンスを漂わせる柔らかくてベルベットの質感があります。一方、アバンドナドは、自然と調和された、質の高い新鮮さを感じることができます。同じ強度と同じ繊細さを持つ調和のとれた口当たり。違いをあげるなら、最大の違いは、ミネラルと果実の調和にあると感じました。どちらも、香り、余韻は長く、特別なワインです。

アバンドナドの2019年ヴィンテージとシャトー・マルゴーの2017年ヴィンテージの国際的な評価と受賞歴においても、共通点をみることができます。

アバンドナド

  • ロバート・パーカー - 94-96/100
  • レヴィスタ・デ・ヴィーニョス - 18.5/20
  • WeinWirtschaft (ドイツで最も有名なワイン誌)- 95/100 ドイツ市場で最高のポルトガルワイン

シャトー・マルゴー

  • ロバート・パーカー - 98/100
  • Wine Enthusiast(アメリカで有名なワイン専門誌 - 96/100
  • ジャンシス・ロビンソン - 17.5/20

アバンドナドは、80年という月日をかけ、トライ・アンド・エラーのもと、一族の不屈の献身と創造力をもって作り上げたワイン畑から生まれた感動のストーリーです。この惜しみない努力が、唯一無二のワインを生み、すでに名高い優れたワインのポートフォリオの仲間入りを果たすことができたのです。アルヴェス・デ・ソウザは、ポルトガルのブドウ栽培において重要な存在であり、このワインの芸術的表現力と細部へのこだわりは、世界最高峰に匹敵するものなのです。

アルヴェス・デ・ソウザのワインが、偉大なフランスのシャトーと肩を並べることができることは、今回記述したことから疑う余地もないでしょう。素晴らしいポルトガルワイン、アバンドナドを手に取っていただき、この大胆な主張が、本当かどうかを是非確かめてみてください。アルヴェス・デ・ソウザが造る世界は、その他のよりお手頃なワインや高級ポートワインからも体験できます。

キンタ ダ ガイヴォーザ /QUINTA DA GAIVOSA 2020【赤ワイン】
キンタ ダ ガイヴォーザ /QUINTA DA GAIVOSA 2020【赤ワイン】

アルヴェス・デ ・ソウザ  ヴィンテージ ポート / Alves de Sousa Vintage Port2015【ポートワイン】

キンタ ダ ガイヴォーザ 10年 トウニー/QUINTA DA GAIVOSA PORTO 10 ANOS TAWNY 【ポートワイン】

キンタ ダ ガイヴォーザ 20年 トウニー/QUINTA DA GAIVOSA PORTO 20 ANOS TAWNY 【ポートワイン】

 

1件のコメント

どちらのワインも個性が光り、特に香りと余韻の美しさが心に残る素晴らしい体験ですね!Telkom University Jakarta

aisyah

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