ポルトガルワインは甘いワインしかないとよく言われますが、ここ数年で「緑のワイン」が注目されています。「緑」といっても、一般的な、ロゼワインや赤ワイン、白ワインのように、色そのものを表しているわけではありません。「緑のワイン」とは、ポルトガルのミーニョ地方でつくられている微発砲の白ワインのことで、辛口で飲みやすく、はつらつとした特徴を持っています。ミーニョ地方はポルトガルの最北部にあり、そこにはミーニョ川がながれて、スペインとの国境になっています。
さて、気になる「緑のワイン」の言葉の意味ですが、そもそも「緑のワイン」というのはポルトガル語の直訳で、ポルトガル語ではヴィーニョ・ヴェルデ”vinho verde”といいます。
ヴィーニョ vinho= ワイン
ヴェルデ verde = 緑色 という意味です。
“緑”というのは、ワインの特徴である「若さ」や「はつらつさ」、また産地が緑豊かな場所であることなどに由来します。D.O.C. Vinho Verde(D.O.C.ヴィーニョ・ヴェルデ)という、ミーニョ地方の原産地呼称ですが、世界でも稀な、ワインのスタイルが原産地呼称名となっている産地です。
ミーニョ地方では辛口で飲みやすい白ワインを90%以上作っています。昔は地元消費型のワインとして親しまれていました。フレッシュさが命なので、概ね、3か月から半年以内には出荷されていたようです。そのことにより、マロラクティック発酵といわれる現象が瓶内でおこり、僅かな発砲が帯びたワインが市場に出回りました。生産者側ではその発砲がよくないとされていましたが、一方で、市場ではそれが人気の由来となっていきました。その人気から、今では、ヴィーニョ・ヴェルデのワイン(緑のワイン)にあえて僅かなガスをいれる生産者もいるほどです。
品種は20種類ほどの推奨品種がありますが、アルヴァリーニョやローレイロ、トラジャドゥラを覚えていれば充分でしょう。飲みやすく、ピチピチとしたワインは、夏の時期になると爽快感を味わえるため特に飲みやくなります。ちょっとしたパーティでもお勧めです。アルコール度数も少ないものが多いので、初心者の方に親しみやすいワインでもあります。また値段も微発泡タイプは比較的リーズナブルなものが多く、一方で発泡していない高級ラインのワインもあります。今では世界各国に広がり、夏のワインの一つとして、緑のワインはトレンドワインとなりました。
ヴィーニョ・ヴェルデはポルトガルの生産量の約1/10も占めるようになりました。クォリティーも上昇し、高級種アルヴァリーニョだけを使った熟成可能なワインも近年では生産されるようになりました。凝縮感やミネラル、骨格があり、個性もある素晴らしい発泡していないタイプのワインです。
微発泡タイプが日本市場では多く出回っていますが、気軽な微発泡タイプから、高級感のある緑のワインまで、是非幅広く楽しんでみてください。